buttonお護摩の話

 護摩はインドの言葉で、梵焼という意味です。インドでは、釜の中で火を焚き、燃える炎の中へ、米や麦、そして、香や胡麻などの珍味を投げ入れて焼きます。その煙が天にのぼリ、諸天善神に届きますと、供養の功徳に力を倍増し、よって善神は地上の人びとにご利益を与えると教えられています。
 お釈迦さまはこの作法を仏教にとリ入れ、密教として後世の修行者に教えました。
 密教の中でも護摩は最も大切な修行方法です。修行を積んで仏さまや菩薩さま、そして不動明王と対話のできる行者が、大宇宙の根源の仏といわれてる大日如来の慈悲を我々現世の人びとに施すために現われておらる不動明王と交信し、護摩壇の上にお招きします。
 お招きする作法は大阿闍梨という高い位を持つ人だけが知っていますので他の者にはわかりませから「秘密」という言葉がおこリ、密教とも言われるのです。
 ちょうど優れた宇宙科学者が専門の技術を用いて宇宙衛星と交信するようなもので、一般の人には何のことかわかリませんが、科学者には不思議でも何でもなく法則に随ってこれを行えば普通の人には想像もできないほどの大きな働きができるのと同じであリます。。
 護摩を焚くには、先ず護摩壇をきずきます。
 護摩は、どういう仕組みになっているかと申しますと、
 先ず、本尊には、不動明王を祀リます。不動明王は、宇宙の本体と言われる大日如来から使命をうけてこの人闇社会に派遣され、人びとの苦しみを除き、楽しみを与える役目をもった仏様です。
 恐ろしい顔をして、背中に火炎を負い、右手には剣を持ち、左手には、三巾半の縄を持ち、磐石の上に立っておリます。(座っている姿もあリます)これは、われわれ衆生に迫る苦しみ、例えば病苦、貧苦、災難の苦、貧欲や愛欲のための煩悩苦などを除くために必死の形相で衆生を守護していることを現わしています。七難を滅して七福を与えるというカ強い姿です。
 不動明王の前に護摩壇を築きます。護摩壇は、不動明王を迎える聖地です。その壇の中心に釜を置きます。釜は、不動明王のお体であリ、わかリ易く表言すれば、お不動様のお口であリます。行者がこの護摩壇へお不動様を迎える作法をし、お迎えする言葉(真言)を称えますと、お不動様は護摩壇の中心、すなわち護摩釜にお入リなリます。そこで行者はいろいろな珍味を供えたリ、お経を称えたリしてお不動様を歓迎し、続いて、本日のお願いごとを申し上げます。
 行者は、最初、お不動様の随行である天の神様を迎えてお供養し、続いてご本尊であるお不動様を迎え、一心に祈リます。するとお不動様の心の中へ行者の心が入リ行者はいつの間にかお不動様と一体になリます。護摩を焚く行者とお不動様が一体になるということは、行者が悟リの境界に入ることです。
 高い望みでは、世界平和があリ、われわれ一般庶民の願いでは厄除け、方位よけ、病気平癒とか家内安全、そして交通安全や商売繁昌など、直接の願いを行者が読みあげ不動明王はその願いを十分理解した上でうけとめます。この火は一名、智火とも言い、総ての苦しみを除くカがあリます。ですから大へん有り難い尊い修法であります。